日記2

自然演繹を積極的に用いたい.

単項式の乗法

  • 単項式の乗法

 α,β,γ,......:1つの束縛変数

 a,b,c,...,x,y,z,......:1つの自由変数

とする.このとき次の式を計算せよ.

(解答)

(1)  a^2×(a^3)^2×(a^2)^3=a^2×a^6×a^6=a^{2+6+6}=a^{14}.

(2)  (3a)^2×(2a^4)^3=9a^2×8a^{12}=72a^{2+12}=72a^{14}.

(3)  ((-a^2)^3)^4=(-a^6)^4=a^{24}.

(4)  64x^2y^4×((-1/2)xy^2)^3=64x^2y^4×(-1/8)x^3y^6=-8x^5y^{10}.

  • 指数の定義

 \mathbb{Z}^+=\{1,2,...,n,n+1,......\}  (正整数)

 α=[m]_{\mathbb{Z}^+}  (与えられた正整数)

 β=[a]_{\mathbb{R}}  (与えられた実数)

とする.このとき

 a^m:=a×a×\cdots\cdots×a (m個の積)

と定め,この a^m aの指数 mという.

☆ 注意

 「s.t.」が入らないときは,「与えられた数」と表示する.

  • 指数法則(定理)

 \mathbb{Z}^+=\{1,2,...,n,n+1,......\}  (正整数)

 α=[m,n]_{\mathbb{Z}^+}  (与えられた正整数)

 β=[a,b]_{\mathbb{R}}  (与えられた実数)

とする.このとき

(ア)  a^m×a^n=a^{m+n}

(イ)  (a^m)^n=a^{mn}

(ウ)  (ab)^n=a^nb^n

が成立する.

  • 与えられた数とは何か?

 いま

 a:与えられた実数(自由変数)

 m,n:与えられた正整数(自由変数)

がある.このとき「与えられた」数とは計量数が無限個(可算・非可算を問わない)で,順序数が附けられたものをいう.

例 

①  α=[m,n]_{\mathbb{Z}^+}

 mは1番目, nは2番目である.すなわち

 m:1番目の1,2,3,......のうちのどれか

 n:2番目の1,2,3,......のうちのどれか

②  β=[a,b]_{\mathbb{R}}

 a:1番目の実数

 b:2番目の実数

☆ 注意

 実数 aの中身は問わない(わからない).

  • 指数法則に関して無限濃度の可算・非可算を問わないことについて

  mは1番目の正整数, aは1番目の実数である.この意味で,両者は記号の中身を問わず,順序に従う数として同一である.そしてこれが,与えられた数の意味である.

  • 正整数は有限個か?

 \mathbb{Z}^+=\{1,2,...,n,n+1,......\}

に対して

 k=[n]_{\mathbb{Z}^+}

を考える.このとき, kの計量数は無限個であるが,順序数で n番目という意味である. kに関して,計量数に注目すれば無限個,順序数に注目すれば有限個である,といえる.

  • 定理の証明

(証明)

(ア)について

 指数の定義より

 a^m:=a×a×\cdots\cdots ×a  ( m個の積)

 a^n:=a×a×\cdots\cdots ×a  ( n個の積)

に対して

 a^m×a^n

 =(a×\cdots×a)×(a×\cdots ×a)

 =(m個のa)+(n個のa)

 =m+n個のa

 =a×a×\cdots\cdots ×a  ( m+n個の積)

 =a^{m+n}

が成立する.

(イ)について

 自由変数 xに対して

 x:=a^m

と置く.このとき,指数の定義から

 x^n=x×x×\cdots\cdots ×x  ( n個の積)

 =a^m×a^m×\cdots\cdots a^m  ( n個の積)

 =(a×\cdots ×a)×(a×\cdots ×a)×\cdots\cdots ×(a×\cdots ×a)

 =(m個のa)×\cdots ×(m個のa)  (全体として n個の積)

ここで

 m+m:=2m

より n個の積は

 m+m+\cdots\cdots +m=nm

であるから

 =nm個のa

 =a×\cdots ×a  ( nm個の積)

である.また,正整数 m,nは可換 nm=mnであるので

 =a×\cdots ×a  ( mn個の積)

 =a^{mn}

を得る.したがって

 x^n=a^{mn} i.e.  (a^m)^n=a^{mn}

が成立する.

(ウ)について

 自由変数 xに対して

 x:=ab

と置く.このとき,指数の定義より

 x^n=x×\cdots ×x  ( n個の積)

 =ab×\cdots ×ab  ( n個の積)

である.いま

 x×x=x^2=ab×ab=a×b×a×b=a×a×b×b=a^2×b^2  (指数の定義)

であるから

 =(a×\cdots ×a)×(b×\cdots ×b)

 =(n個のa)×(n個のb)

 =a^n×b^n

である.したがって

 x^n=a^nb^n. i.e.  (ab)^n=a^nb^n

を得る.▢