日記2

自然演繹を積極的に用いたい.

命題 1.1.3 (1) 1項

 x,y,z,......:1つの束縛変項

 a,b,c,......:1つの自由変項

 G:1つの群

 (G,\circ)

とする.このとき

 ∃x∀y[x∈G∧[y∈G→x\circ y=y]]

が成立する.但し

 ∃1x=[e]_G

 ∀y=[a]_G

 x\circ y=y\circ x

である.

(証明の方針)

 群 G単位元 eについて

 ∃e∈G, ∀a∈G a\circ e=e\circ a a\circ e=a

とはどういう意味だろうか.

 ∃e∈G s.t.  a\circ e=e\circ a  a\circ e=a ( ∀a∈G)

つまり, eというのが Gに存在するときに,任意の Gの元について条件をみたす. eが存在しないときも,その条件で書ける,と解釈できる.

 一方,1936年までの抽象代数学では

 ∀a∈G ∃e∈G s.t.  a\circ e=e\circ a a\circ e=a

という数学だった.この記号の意味は,任意の Gの元に対して,条件をみたすような e∈Gが存在する,である.もちろん, e Gに存在しない場合も含まれる.これだけだとよくわからないので,次のように区分する.

① ∃∀型

② ∀∃型

とする.このとき①から考えてみる.①は e Gに存在するときに群を定義している.もし, e Gに存在しなければ,その集合は群ではない.そして,群でない集合はいま思考しない.

 それに対して,②は Gの任意の元に対して e Gに存在するときに群を定める.また, Gの任意の元について, e Gに存在しないときも,群を定義している.このような比較から,私も①の∃∀型で群の単位元を定義したいと思う.

 さて本題に入る.

(ア)  a\circ e=e\circ a

(イ)  a\circ e=a

をみたすような e∈Gが唯一であることを示したい.そもそも,ものが唯一であるとは

 順序項(数)が1つ ⇔ 計量項(数)が1個

のことだった.そこで, e∈Gが順序として Gの中の1番目であり,それが個数として1個であることを証明する.

  • 目標  Gの中で1番目の元は1個であること

(ⅰ) まず, e Gの中で1番目だと仮定する.このとき

 G×G→G  e\circ e=e

であるので, e Gの中で1個であることがわかる.

(ⅱ) 次に, e Gの中で1個だとして, e Gの中で1番目であることを示す. G単位元の定義より

 ∃e∈G s.t.  a\circ e=a  ( ∀a∈G)

であるから, e Gの中で1番目である,と指定すればよい.したがって e∈G

 1番目 ⇔ 1個

をみたすことがわかる.