日記2

自然演繹を積極的に用いたい.

定理2.1 微分可能性の必要十分条件 42項

・用語

 aの周りで」とは, δ >  0が存在して,開区間 (a-δ,a+δ)で,という意味である.

 f(x)=y:xの関数

とする.このとき

 f(x) x=a微分可能である

 ⇔

 f(x)がaの周りで

 f(x)=f(a)+(x-a)f'(a)+(x-a)B(x)

と書けることをいう.但し, Aは自由変項, B(x) aの周りで定義された関数で, x=aで連続, B(a)=0をみたす(このとき A=f'(a)である).

(準備)

  • 平均変化率

 関数 f(x)=y x=aから x=bまでの平均変化率とは

 \displaystyle\frac{f(b)-f(a)}{b-a}  (2.1)

をいう.

 (2.1)で b aに限りなく近づけたときの極限値がもし存在すれば,その極限値 x=aでの瞬間変化率とよばれる.この瞬間変化率は点 aにおける f(x)=y微分係数ともよばれ, f'(a)と書く.すなわち

 f'(a):=\displaystyle\lim_{x→a}\displaystyle\frac{f(x)-f(a)}{x-a}

である.微分係数が存在するとき, f(x) x=a微分可能である,という.

 

(証明)

( ⇒)

  f(x) x=a微分可能である,と仮定し

 f(x)=f(a)+(x-a)f'(a)+(x-a)B(x) 但し B(a)=0

と書けることを示す.関数 f(x)=yに対して

 x=[α]_{\mathbb{R}^+} s.t.

 y=[β]_{\mathbb{R}^+} s.t.

 α:=0

 β:=0

 f(0)=0

とする.いま与えられた関数が x=a微分可能であるので

 f'(a)=\displaystyle\lim_{α→a}\displaystyle\frac{f(0)-0}{α-a}=0

である.また

 B(x):=

 \displaystyle\frac{f(x)-f(a)}{x-a}  ( x≠a)

 0  ( x=a)

と定義すれば B(x)=z x=aで連続である.なぜなら

 ε:=1

 δ:=2a

 z=[w]_{\mathbb{R}^+}

に対して

 |0-a| <  δ  ⇒  |B(0)-B(a)|=|0-0| <  ε

であるから

 B(x)=\displaystyle\frac{f(x)-f(a)+0}{x-a}

i.e.

 B(x)(x-a)=f(x)-f(a)+0

i.e.

 f(x)=f(a)+(x-a)B(x)+0

i.e.

 f(x)=f(a)+(x-a)B(x)+0

i.e.

 f(x)=f(a)+(x-a)f'(a)+(x-a)B(x)  ( f'(a)=0による)

と書ける.

(⇐)

 関数f(x)が

 f(x)=f(a)+(x-a)f'(a)+(x-a)B(x)

で表される,と仮定する. x=aのときは f(x)=f(a)より微分係数 0であるから( f'(a)=0), f(x) a微分可能である.そこで x≠aを考える.このとき

 f(x)=f(a)+(x-a)f'(a)+(x-a)B(x)

 =f(a)+(x-a)(f'(a)+B(x))

i.e.

 \displaystyle\frac{f(x)-f(a)}{x-a}=f'(a)+B(x)=A+B(x)

である.ここで極限操作 x→aをすれば

 B(x)=0  ( x→a)

であり

 \displaystyle\lim_{x→a}\displaystyle\frac{f(x)-f(a)}{x-a}=f'(a)=A

を得る.したがって, f(x) x=a微分可能で,微分係数 Aである.▢

 

  • 課題

 x=aで連続

 x=a微分可能

というように x=aであると言いながら,なぜ x=aを除いた場合の x≠aを考えることができるのか,がわからない.