- ラッセルの背理
但しここではを限量しない.
を集合と認めると,次のような矛盾が起こる.を集合と認めると,自身もの元である.すなわち
である.今までの集合はたとえばは自分自身を元として含んでいない.したがって,集合とは
① 自分自身を元として含むもの
② 自分自身を元として含まないもの
がある.
であるような集合を第一種の集合,であるような普通の集合を第二種の集合と呼ぶことにする.これより
と置く.このとき
である.
いま,を集合と認めるとき,であるから,は第一種の集合である.さて,集合は第一種か第二種であるかのどちらかである(排中律).
もし,仮にが第一種の集合であるとすると,第一種の集合の定義より,と成る.しかし,が第二種の集合の集合全体を成す集合であるので,ということは,は第二種の集合ということに成る.それに対して,が第一種の集合であるという仮定がある.さらに,であるので,これは矛盾である.
一方,が第二種の集合であるとすると,第二種の集合の定義より,,と成る.そうすると,であるから,ということに成るのでは第一種の集合ということに成る.これより,が第二種の集合であるという仮定と矛盾する.▢