日記2

自然演繹を積極的に用いたい.

ラッセルの背理(パラドックス)

  \mathfrak{X}:=\{X|Xは1つの集合\} 但しここでは Xを限量しない.
 いま,\mathfrak{X}を集合と認めると,次のような矛盾が起こる. \mathfrak{X}を集合と認めると, \mathfrak{X}自身も \mathfrak{X}の元である.すなわち

 \mathfrak{X}∈\mathfrak{X}

である.今までの集合はたとえば a∈Aは自分自身を元として含んでいない.したがって,集合とは

① 自分自身を元として含むもの

② 自分自身を元として含まないもの

がある.

  X∈Xであるような集合を第一種の集合, X∉Xであるような普通の集合を第二種の集合と呼ぶことにする.これより

 \mathfrak{X}_1:=\{X|Xは集合でX∈X\}

 \mathfrak{X}_2:=\{X|Xは集合でX∉X\}

と置く.このとき

 \mathfrak{X}=\mathfrak{X}_1∪\mathfrak{X}_2

 \mathfrak{X}_1∩\mathfrak{X}_2=\varnothing

である.

 いま, \mathfrak{X}を集合と認めるとき, \mathfrak{X}∈\mathfrak{X}であるから, \mathfrak{X}は第一種の集合である.さて,集合 \mathfrak{X}_2は第一種か第二種であるかのどちらかである(排中律).

 もし,仮に \mathfrak{X}_2が第一種の集合であるとすると,第一種の集合の定義より, \mathfrak{X}_2∈\mathfrak{X}_2と成る.しかし, \mathfrak{X}_2が第二種の集合の集合全体を成す集合であるので, \mathfrak{X}_2∈\mathfrak{X}_2ということは, \mathfrak{X}_2は第二種の集合ということに成る.それに対して, \mathfrak{X}_2が第一種の集合であるという仮定がある.さらに, \mathfrak{X}_1∩\mathfrak{X}_2=\varnothingであるので,これは矛盾である.

 一方, \mathfrak{X}_2が第二種の集合であるとすると,第二種の集合の定義より, \mathfrak{X}_2∉\mathfrak{X}_2 \mathfrak{X}_2∈\mathfrak{X}と成る.そうすると, \mathfrak{X}=\mathfrak{X}_1∪\mathfrak{X}_2であるから, \mathfrak{X}_2∈\mathfrak{X}_1(集合の性質)ということに成るので \mathfrak{X}_2は第一種の集合ということに成る.これより, \mathfrak{X}_2が第二種の集合であるという仮定と矛盾する.▢