日記2

自然演繹を積極的に用いたい.

定理 1.1.25 第3同型定理 6項

 a,b,c,...,x,y,z,......:1つの束縛変項

 a_1,a_2,...,b_1,b_2,......:1つの自由変項

 H,K\triangleleft G

 H⊂K

 α:(G/H)/(K/H)→ G/K 写像

とする.このとき

(ⅰ)  K/H\triangleleft G/H

(ⅱ)  (G/H)/(K/H)\cong G/K

が成立する.

(証明の方針)

  • 前提のまとめ

  H,K\triangleleft Gより

 H⊂G, K⊂G ☆

であり H⊂Kが与えられている.とくに H⊂Kについて,☆より H,Kはともに群であるから H≤Kである.

①  H\triangleleft Kであること

 ∀k=[k_1]_K  kH=Hk

を示す.そのために

(ア)  kH⊂Hk

(イ)  Hk⊂kH

をいう.

(ア)について

 ∀x=[a_1]_G

 ∀x[x∈kH]\vdash ∀x[x∈kH→x∈Hk]

を考える.このとき

 a_1∈Hk

を仮定できるか?

 H⊂K⊂G

より Hのすべての元と Kのすべての元は Gの元であるので, kHの元と Hkの元とを Gの元と看做し, kH Hkを同一視する.これより,(ア)そして(イ)もわかる.

②  H\triangleleft Kより K/Hを考える.このとき,(ⅰ)を示したい.いま2個の剰余類

 K/H=\{X|X=kH\}  ∀k=[k_1]_K

 G/H=\{Y|Y=gH\}  ∀g=[g_1]_G

を表示すると ∀X∈K/Hに対して

 K⊂G

より X∈G/H

である.すなわち K/H⊂G/Hである.そして,条件より H,K\triangleleft Gであるから定理1.1.20より K/H G/Hはともに群(剰余群)を成す.したがって

 K/H≤G/H

である.これより便宜のため

 Γ:=K/H

 Ω:=G/H

 Γ≤Ω

で表す.

(ⅰ)について

  ∀S∈Ω  SΓ=ΓSを示す.但し

 ∀S=[gH]_Ω  ∀g=[g_1]_G  

であり H\triangleleft Gより gH=Hgであるから gHのみを考えればよい.

(ア)  SΓ⊂ΓS

(イ)  ΓS⊂SΓ

をいう.

(ア)について

 ∀X[X∈SΓ]\vdash ∀X[X∈SΓ→X∈ΓS]

を考える.このとき

 A_1∈ΓS  ∀X=[A_1]

を仮定できるだろうか?

 A_1=g_1Hk_1H=g_1k_1=a_1H  ( a_1=g_1\circ k_1, Gは群)

他方

 A_1=g_1Hk_1H=Hg_1Hk_1=Hg_1k_1=Ha_1

であるから

 a_1H=Ha_1 i.e.  aH=Ha  ∀a=[a_1]_G

が成立する.(イ)も同様であるから

 SΓ=ΓS

と成る.したがって Γ\triangleleft Ωである.

(ⅱ)について

 Ω/Γ\cong G/K

を示す.

①  αが準同型写像であること

 写像 αに対して

 α:Ω/Γ→G/K

 ∀x=[a_1,b_1]_G

 a_1Hb_1H=a_1b_1H=xHより

 xH\mapsto α(xH)

と書く.とくに

 α(xH)=xK   (G, \circ)

である.いま

 ∀x=[a_1,b_1]_G

 ∀y=[a_2,b_2]_G

に関して

 α(xH\circ yH)=α(xyH)=xyK

 α(xH)\circ α(yH)=xK\circ yK=xyK

が成立する.したがって, αは群準同型写像である.

②  αが単射であること

  xH≠yHと仮定する.このとき

 α(xH)=xK

 α(yH)=yK

写像の一意性と仮定により

 α(xH)≠α(yH)

を得る.

③  αが全射であること

 α(Ω/Γ):=\{xK∈G/K|x∈G\}⊂G/K

であるから

 G/K⊂α(Ω/Γ)

を示せば十分である.

 ∀xK[xK∈G/K]\vdash ∀xK[xK∈G/K→xK∈α(Ω/Γ)]

について

 xK∈α(Ω/Γ)

を仮定できるか?  xK α(Ω/Γ)のすべての元であるから,この仮定は許される.したがって, G/K=α(Ω/Γ)が成り立つので, α全射である.

 以上より

 α:Ω/Γ→G/K

は同型写像である.それゆえ群同型

 (G/H)/(K/H)\cong G/K

が成立する.

  • 感想

  H⊂G,K⊂Gより H Kのすべての元は Gに属する.これより H Kをともに Gと看做せば G\triangleleft Gより剰余群 G/Gで, G/G G/G正規部分群であるから

 (G/G)/(G/G)\cong G/G

より定理は自明である,といえると思う.