日記2

自然演繹を積極的に用いたい.

定理 1.1.24 第2同型定理 5項

 H,K≤G

 K\triangleleft G

とする.このとき

(ⅰ)  H∩K\triangleleft H

(ⅱ)  H/(H∩K)\cong HK/K

が成立する.但し写像

 α:H/(H∩K)→HK/K

は与えられている.

(証明の方針)

①  H∩K:=\{z_1∈G|z_1∈H∧z_1∈K\}⊂G

②  HK:=\{z_2∈G|z_2=s\circ t (s∈H,t∈K)\}⊂G

便宜のため

 A:=H∩K

と置く.

①について

 ∀z_1∈Aに対して

 z_1∈H∧z_1∈K i.e.  z_1∈H∩K  論理積と共通部分の関係

である.また

 z_1∈H→z_1∈G  ( H⊂Gによる)

 z_1∈K→z_1∈G  ( K⊂Gによる)

であるから, z_1∈Gと表される.したがって, A Gの演算 (G, \circ)に関して群を成す.すなわち A≤G(A⊂G)である.

②について

  ∀s∈H H≤Gより H⊂Gであるから s∈Gである. ∀t∈Kも同様にして, t∈Gである.これより (G, \circ)に関して

 ∀z_2∈HK  z_2=s\circ t∈G

と表示できる.それゆえ

 HK⊂G

であるから HKは群である.すなわち HK≤Gである.さらに

 ∀z_2∈G  z_2=s\circ t

より G=HKと書ける.これより定理の主張を

(ⅰ)'  A\triangleleft H

(ⅱ)'  H/A \cong G/K

に換言する.

(ⅰ)'について

  •  A≤Hであること

③  A⊂H

 ∀x=[a_1]_A

 ∀x[x∈A]\vdash ∀x[x∈A→x∈H]

証明は自明なので

 a_1∈H

を仮定できるか否かを確かめる. a_1∈Aに対して Aの内包より a_1∈Hであるから,この仮定は許される.したがって, A⊂Hを成す.☆

④  A\triangleleft H

 Aの内包に関して

 z_1∈H∧z_1∈K  ( ∀z_1∈G)

に∧-除去を適用して

 z_1∈K

 Aの元と看做せば K正規部分群であるから

 a_2A=Aa_2

が成立する.したがって

 A\triangleleft H

を得る.

☆について

  Aの内包について,∧-除去より z_1∈H(∀z_1∈G)を導出し,これを Aの元と考えると, H⊂Hより A⊂Hを得る.このように,∧-導入及び除去について,数学は論理的に答えを出してきていないので,定理の主張自体を見直す必要があるかも知れない.

(ⅱ)'について

 ここから Aには∧-除去を適用して,是を Kで表すことにする.

①  αが群準同型写像であること

 α:H/K→G/K  (G, \circ) \mapsto (G, \circ) ( ∀x=[a_1,a_2]_G)

 xK\mapsto α(xK)

 x∈H→x∈Gより

 α(xK)=xK

について

 α(a_1K\circ a_2K)=a_1K \circ a_2K=a_1a_2K

 α(a_1K)\circ α(a_2K)=a_1K\circ a_2K=a_1a_2K

である.

 それゆえ

 α(a_1K\circ a_2K)=α(a_1K)\circ α(a_2K)

が成立する.

②  αが単射であること

  a_1K≠a_2Kと仮定する.このとき

 α(a_1K)=a_1K  (このような対応は1個)

 α(a_2K)=a_2K  (同様に1個)

に対して写像の一意性により

 α(a_1K)≠α(a_2K)

を得る.

 ゆえに, α単射である.

③  αが全射であること

 α(H/K)=G/K ☆☆

を示す.

 α(H/K)=\{xK∈G/K|x∈G\}⊂G/K

より

 G/K⊂α(H/K)

を示せば十分である.

 ∀X[X∈G/K]\vdash ∀X[X∈G/K→X∈α(H/K)]   ∀X=[aK]_{G/K}

を考える.問題はこの部分集合の論証に関して

 aK∈α(H/K)

を仮定できるか?  aK∈G/Kに対して

 α(aK)=aK

であるから

 aK∈α(H/K)

を仮定してよい.したがって☆☆が成立する.

 以上より αは同型写像であるから,群同型

 H/(H∩K)\cong HK/K

を成す.