日記2

自然演繹を積極的に用いたい.

例1.6 9項 

 A:=\{x|x=2m+3n(m,n∈\mathbb{Z})\}

と置く.このとき A=\mathbb{Z}である.

(証明)

(⇒)  x∈A s.t.  x∈A ⇒ x∈\mathbb{Z}を示す.

  x∈Aを仮定すると, Aの条件より

 x=2m+3n  ( m, n∈\mathbb{Z})

と書くことができる.いま

 m:=1, n:=2

と置くと

 x=2+6=8∈\mathbb{Z} i.e.  x∈\mathbb{Z}

を得る.これより,→-導入から

 x∈A ⇒ x∈\mathbb{Z}

が成立する.

(⇐)  x∈\mathbb{Z} s.t.  x∈\mathbb{Z} ⇒ x∈Aを示す.

  x∈\mathbb{Z}を仮定すると, \mathbb{Z}の条件より \mathbb{Z}は和と積で閉じているので

 2m∈\mathbb{Z}, 3n∈\mathbb{Z}, 2m+3n∈\mathbb{Z}

で表される.ここで

 x:=2m+3n  ( m,n∈\mathbb{Z})

と置けば

 x∈A

を得る.したがって,→-導入より

 x∈\mathbb{Z} ⇒ x∈A

が成立する.

 以上より, A⊂\mathbb{Z}∧A⊃\mathbb{Z}であるから,三者択一の法則から

 A=\mathbb{Z}

と成る.▢

  •  A=\mathbb{Z}について

  Aの元はすべて 2m+3nで書かれるが, \mathbb{Z}の元はすべて 2m+3nで表されるとは限らない.では A=\mathbb{Z}とはどういう意味だろうか? 

 x∈A s.t.  A⊂\mathbb{Z}

かつ

 x∈\mathbb{Z} s.t.  \mathbb{Z}⊂A

すなわち

 x∈A

 x∈\mathbb{Z}

s.t.  A=\mathbb{Z}

ということである.つまり,部分は全体と一致することもあるし,また全体は部分と一致することもある.それがこの等号の意味である.それゆえ, \mathbb{Z}の元のとり方に依っては, A=\mathbb{Z}が不成立になることもある.しかし,「s.t.」の存在充足性によって,少なくとも1個は A=\mathbb{Z}をみたすような \mathbb{Z}の元がある,と考えることが妥当なように思われる.

  •  \mathbb{Z}の元は,たとえば 2m+3n+4ℓとも書けるので, \mathbb{Z}の元は,必ずしも 2m+3nのかたちに成るわけではない.