とする.このとき
は成立するか?
(証明の方針)
i.e.
を試行する.もし,記号の一切の中身を問うことをしなければ,この判断も真と成る.
1 (1) 前提
1 (2) 1. ∀-除去
3 (3) 仮定
1 (4) 2-3. →-導入
1 (5) 1,4. ∀-導入
この場合,(4)で記号の中身を問う必要があることがわかる(ここで意味論的に実証する).たとえばに対して,であるから,(4)の判断は偽である.したがって,(1)から(5)を導出することはできない.
(証明)
前提
に対して,∀-除去を適用する.このときであり,を仮定すると,→-導入により形式的に
☆
と書くことができる.しかし,この判断は偽であるので,命題は不成立である.▢
- まとめ
論理学の目的は,判断を記号化することである.しかし,それには限度があって,たとえば,この部分集合の例のように(4)で,どうしても記号の意味を問う必要が出てくる.判断が偽であることを示すことは,比較的容易であるが
①
の場合に(4)の実質をどのように記述すべきだろうか.すべての自然数は整数に属することは直観でわかっている,というように,直観でわかっているものしか,思考できないのだろうか.①の(4)について考えてみたい.
1 (1) 前提
1 (2) 1. ∀-除去
3 (3) 仮定
1 (4) 2-3. →-導入
1 (5) 1,4. ∀-導入
このような(4)の場合に(4)が偽であると仮定して(後件否定)みよう.これも証明の方針で書くべきことだと判断した.
1 (1)
i.e. 仮定
1 (2) →-除去
1 (3) ¬-除去
(4) ¬-導入
(5) DN規則
これで確かに部分集合成立の命題は示された.▢
- まとめ
直観でわかることの記号化に成功した.