☆判断の論証を中心に書くので,もし定義などがわからない場合は参考文献を参照してください.
第1章 平面と空間のベクトル
第1節 ベクトルとその演算
1. ベクトル
平面または空間でAを始点,Bを終点とする有向線分をABで表す.
2. ベクトルの和とスカラー倍
をベクトルの集合とする.このとき
に対して
OA (Oは原点)
AB
OB
と定める.これをaとbの和という.
- 判断
に対して
(1)
(2)
が成立する.
(証明)
AB BB
と置く.このとき
AB+BB=AB (ベクトルの和の定義)
と表される.それに対して
AB AA
と置けば
AA+AB=AB
とできる.したがって(1)及び(2)が示された.▢
- 判断
をスカラーの集合とする.このとき
に対して
が成立する.
(証明)
を示す.
1 (1) 前提
2 (2) 前提
3 (3) 仮定
ここで,と置くと1の約数とその因数はそれぞれ1であるから
である.しかし,これは(1)に矛盾する.
1,3 (4) 1,3.¬-除去
1 (5) 3-4.¬-導入
1 (6) 1.DN規則
以上より判断は真の命題となる.▢
- 判断
のときすべてのに対して
が成立する.但しが零ベクトルの場合は除く.
(証明)
先の判断と同様にして示される.▢
いまベクトルaについて
と定める.このとき次の判断が命題となる.
- 判断
はの逆ベクトルである.
(証明)
AB
と置く.このときに対して
AB
BA (スカラー倍の定義)
それゆえ
BA
である.▢
- 判断
が成立する.
(証明)
AB
と置く.このときBAについて
AB+BA
AA (ベクトルの和の定義)
0 (零ベクトルの定義)
ゆえに
が示された.▢